先般ドイツ・フランクフルトにて開催された「ハイムテキスタイル2019」では、今後のテキスタイルデザインの方向性を打ち出すトレンド情報が発信されました。
そのテーマは「Toward Utopia」(ユートピアの方へ)。大量消費、環境破壊、経済的不安、情報過多などあらゆる点で行き詰まっている現代社会から抜け出し、新たなユートピアを求めるというもので、そうしたマインドの人々に対して提供すべき具体的なテキスタイルのトレンドとして、「PURSUE PLAY」「SEEK SANCTUARY」「GO OFF-GRID」「ESCAPE REALITY」「EMBRACE INDULGENCE」の5つのカテゴリが提案されました。
■PURSUE PLAY
「遊びを追求する」という意味になります。とにかく遊ぶことで閉塞感からの脱却につながるというもので、会場での展示では遊びを象徴するブランコが設置されていました。
具体的なテキスタイルとしては、カラーはレッド、イエロー、ブルー、グリーン。パステルカラーも注目です。素材はキルティングやボンディング、ハニカムメッシュなどクッション性のあるものになります。
■SEEK SANCTUARY
意味は「安らぎを求める」。現在の超情報社会において、そこから断絶することで安らぎを求めようという考え方になります。展示ではヘッドホンで音楽を聞きながら横たわるスペースが設けられていました。
具体的には、カラーはオフホワイトを軸にニュートラルなベージュ、グレーなどで、これまでの緊張感のある強いホワイトから移行しているのが特徴です。素材は心地良いクッション性の高いもの。必ずしも天然繊維にはこだわらず、化学繊維もミックスされているのが新しい流れです。
■GO OFF-GRID
これは、既設の電線網からつながっていない状態ことを指しています。従来型の電力ではなく、ソーラーや風力など自然エネルギーを使って暮らすということを表現したものです。ただし原始的な生活ではなく、最新テクノロジーは取り入れています。
このカテゴリは自然との共生がテーマであり、強度の高いレザーやツイード、あるいはスポーツウェア素材などテクノロジーが可能にした素材が提示されていました。カラーはアウトドアやミリタリーをイメージしたディープなブルー、グリーン、カーキなどです。
■ESCAPE REALITY
「現実逃避」です。現代社会からの逃避を、バーチャルな世界に求めるというイメージになります。今やSNS、AR、VRなどの関連市場は今や膨大で、またリアルとバーチャルの融合も進んでいます。展示ではバーチャル世界を想起させるミラーを張り巡らせた空間が提案されていました。
具体的なテキスタイルは、カラーはライトなパステルカラー。それをマーブル調にミックスしたり、光沢感を出していく形です。今後はデザインが変化するデジタル生地なども登場してくるのではないでしょうか。
■EMBRACE INDULGENCE
「寛大さを抱く」という意味になります。行き詰まった現代から、もう一度1920〜40年代の、熟練の手仕事が求められた古き良き時代に戻ることを提案しています。アールデコを意識しながら軽量感を出しているのが特徴です。 素材はレザーやシルク、ベルベットなど質感のあるアッパーなハイエンドなものがピックアップされました。カラーは伝統的なラグジュアリーカラーです。
いかがでしたでしょうか。2019年〜2020年にかけて、こうしたトレンド情報をベースにした新作カーテンが日本市場でもたくさん発売されることになります。カーテンの買い替えの際の参考にしてください。